右手の痛みは





「アキラちゃーん、寂しかったよぉぉぉ」
 ドアを閉め、鍵をかけると、志貴さんは私に後ろから抱きついてきた。
「きゃっ。志貴さんダメですよ、こんなところで……」
 私は少し驚きながらも、決して逃げようとはしない。
 それはとても心地よく、嬉しい事だからだ。
「だってさぁ……夏休みなのに、3日、3日だよ?」
 志貴さんはごろごろと、私を抱きながら体を揺する。
 すりすりと自分の頬を私に当て、子供のようにだだをこねる。
「その間、寂しくって寂しくって……」
 志貴さんが私の頭に顔を付け、深呼吸して私の臭いを感じている。
「やっ……志貴さん」
 それがくすぐったくて、ちょっと悶えてしまう。それでもやめようとせず、志貴さんはぎゅーっと私を抱きしめ続ける。

「それは……私も……凄く寂しかったです……」
 真っ赤になるのを感じながら、私もそれに答えて俯いてしまう。
「その……志貴さんに……抱きしめて貰えなくって……その……」
 ごにょごにょと、自分でも恥ずかしいことを言っているのが解る。言葉が続かなくなって、黙り込んでしまった。

 

 志貴さんとこういう関係になれて、もう半年になるのかな?
 最初は、かっこいいお兄さんだっていう憧れが強くて、とても私には手の届かない存在だと思っていた。
 遠野先輩が酷く羨ましくて、嫉妬していた時期もあったかも知れない。

 でも、志貴さんが「大好きだよ」って言ってくれた。
 すっごく嬉しくて、涙が止まらなかったっけ。
 初めてはちょっと痛くて、でも心地よくて。
 志貴さんに一番大事にして貰えて、私は少女という殻を脱いでいった。
 
 私は週末になると、よくこのお屋敷に泊まりに来た。
 「外泊の常習犯」なんてからかわれてるけど、志貴さんがそこにいるから。
 遠野先輩は、やきもちを妬きながらも私たちに優しくしてくれている。
 「いつか、私も混ぜてね」と、本気とも冗談とも取れることを言ってきたりしていて。
 私は志貴さんに聞かされて、ふたりは血の繋がってない兄妹だって知っている。
 ふたりはとってもお似合いだし、遠野先輩にも幸せになって貰いたいから、いつか……って思う。

 夏休みに入ると、生徒会の仕事の時以外はお屋敷で過ごすようになった。
 志貴さんが熱望したし、遠野先輩も「一緒にいた方が、何かと好都合ですからね」と言ってくれたから、お言葉に甘えることにしている。
 私の部屋まであてがわれて、まるでロイヤルスウィートに泊まっているかのよう。
 志貴さんが私を毎日のように抱きしめててくれて、私はここから離れられそうになかった。

 でも、ここ3日はお屋敷に帰ってこなかった。
 だって、半年に一度の大イベントが控えていて、その準備に忙しかったから。
 その事を知ってるふたりは、更に部屋を貸してあげると言ってくれたけど、私は丁寧にお断りした。
 やっぱり、まだ志貴さんや遠野先輩に対する恥じらいがあるから。
 それに……友達に志貴さんを見せたくなかったから。
 独占欲だとかそう言う訳じゃないけど、志貴さんはかっこいいから、きっと友達は志貴さんに憧れてしまうはず。
 そんな様子を見て、なんだかちょっぴり嫉妬しそうな自分がいたから。

 夏休みのがらんとした教室で、宿舎で、時には夜中こっそりと抜け出してファミレスで……気付いたらあっという間に時は過ぎ、でもとても充実した日々だった。

 

 でも……同時に、寂しかった。
 今までは、我慢できたのに。
 志貴さんが、そばにいないことが。
 こんなにも、辛いことだったなんて。

 

 私が今日、ここに帰ってきて、志貴さんの本当に嬉しそうな笑顔を見たとき。
 胸が、きゅんと締め付けられる思いだった。

 

 ごめんなさい、志貴さん。
 こんなに、寂しくさせてしまって。
 私は、こんなにわがままな女の子で
 こんなに、志貴さんを愛おしく思う女で。

 

 志貴さんはみんなの前だといつも通りだったけど、私には凄く無理してるってわかった。
 だから志貴さんの為を思って、昼間だというのにこうして志貴さんの部屋に私はやってきたのだった。
 

 

 嘘。

 

 本当は、私が我慢できなくて。
 志貴さんに、抱かれたくて。
 この火照った体を鎮めて欲しくて。
 このドアを、叩いたのだった。

 

「……」
 志貴さんは、言葉無く黙っていた。けど
「……うーっ、可愛いーーー!」
 と、ぐりぐりぐりと更に頬を擦りつけてきて、強く私を抱き締めてくれた。
「きゃっ……もう、志貴さんったら」
 私の前でだけこんな子供のような甘えた姿を見せてくれる志貴さんは、まるで遊び盛りの子犬のようで、どうしてか私の中の母性本能が疼いてくる。

「アキラちゃん」
 志貴さんは、私を振り向かせようとして右手を掴んでくるっと私を回す。
 その時……

「……痛っ」
 私はその鈍痛に顔をしかめてしまった。
「!?」
 志貴さんはぱっと私の手を離し、物凄い驚いた様子で
「だ、大丈夫!?」
 急に怯えるように、私を見た。
「えへっ、違うんです……」
 私は凄く恥ずかしくて、僅かにうつむきながら赤くなり、頭を左手でぽりぽりと掻いてしまう。
「右手……使い過ぎちゃって」
 そう言って、私は昨日までの激務を思い出す。

 流石に、一時たりとも休まずに細いものを握り続ければ、手もおかしくはなってしまう。肩から指先にかけてちょっと筋を痛めちゃって、殆ど握力もない状態だった。
 出来れば志貴さんに変な心配させたくなかったけど、ばれちゃったら仕方ないや。

「そんな、無理しちゃダメだよ」
 志貴さんは、私の右手をさすりながら心配そうに私を見てくれる。
「大丈夫ですよ」
 その志貴さんの私に触れる手の感触までもが気持ちよくて、私は笑顔で答える。
 それでも志貴さんは納得できないようで
「どの辺が痛いの?言ってみて」
 と、ゆっくりと私の手のひらを揉み出した。
「志貴さん?……うーん、そこじゃないですね」
 意外な行動で少し驚いたけど、志貴さんは真剣なので私は止めない事にした。

 志貴さんの指が人差し指の付け根に触れると、そこで張るような痛みが訪れる。
「あっ……」
 私が少し痛そうにすると、志貴さんは手を引っ込める。
「あ、ゴメン……」
 志貴さんは指の探索をやめて、私の腕に触れる。

 半袖だから、直接志貴さんの感触が私に感じられて、気持ちいい。
 なんだか体の奥からゾクリとする感覚。思わず鳥肌が立ちそうになって、私は息をのんでしまった。
 くにゅくにゅと、私の腕を弄ぶようにして志貴さんの手が上下する。

「……志貴さん」
 私がふと呼びかけると、志貴さんは嬉しそうに私を見て、すぐに真剣な振りをする。
「楽しんでますね?」
 私が笑うと、志貴さんも少し我慢したようだけど、堪らず微笑んでしまう。
「分かった?だってさぁ……」
 そう言うと、志貴さんは私の二の腕を優しく触れる。
「女の子って柔らかくて、気持ちよくて、すっごく可愛いからさ……」
 腕を見ながら、感慨深そうに志貴さんは語るから、少しだけ意地悪な気持ちになった。

「じゃぁ、私の腕が可愛いんですか?」
 わざと嫉妬深そうにそう言うと、志貴さんは一瞬驚いた顔をする。けど
「俺はアキラちゃんの全てが可愛いと思ってるから」
 そう言って、手の甲に優しくキスをしてくれた。

 ……こんな歯の浮いた台詞でも、志貴さんの声で言われると私……おかしくなっちゃいそうで。
 たまらなくなって、志貴さんの顔を空いた左手で優しく触れる。

「アキラ……ちゃん?」
 志貴さんがそうして顔を上げる前に。
 私は、志貴さんの唇を奪っていた。

 柔らかい、唇の感触。
 僅か触れなかっただけで、こんなにも甘美な喜びになるなんて。
 志貴さんの温もりが私に伝わると同時に、私の中からも喜びが溢れ出してきていた。
 急速にそれは私の全身を駆け巡り、私の中から力を抜き取っていく。

「あっ……」
 触れたのは、自分からだったのに。
 私は脱力してしまい、志貴さんにもたれかかっていた。
「アキラちゃん……」
 そんな私を、志貴さんはぎゅっと支えて抱き締めてくれていて。
「志貴さん……抱いてください……」
 私は我慢できずに、告白してしまっていた。

「……腕、痛くない?無理しなくても良いんだよ?」
 志貴さんがまた心配してくれるけど、私はふるふると頭を振る。
「大丈夫です、これくらい……」
 私は志貴さんの胸に頭を預け、言葉を探す。

 

 だって
 抱き締めて貰わないと
 私が、狂ってしまいそうで
 志貴さんの体温を、私に分けて欲しかったから

 

「そんな事を忘れるくらいに、今までの分も愛してください……」
 そう言って目を見つめると、志貴さんの中で決心が付いたようだった。
「分かったよ。俺も正直、我慢できなかったから」
 志貴さんは私を抱きかかえて、ベッドに連れて行ってくれた。


 ぽふ、とベッドに私の体が沈み込む。
 大きめのそれに横たわる私はひどく小さく、まるで赤ん坊のように体を丸めている。
 でも、志貴さんのベッドは、やっぱり志貴さんの香りがして。そこにいるだけで、永遠の安らぎを与えてくれそうだった。
 すう、と深呼吸する間に、志貴さんは私の頬に手を当ててきていた。
「アキラちゃん……」
 その純粋かつ男の人らしいキリッとした瞳に魅入られて、私の中の女が爆発しそうになっている。
「志貴さん……」
 私は無理して両手を志貴さんの顔に当て、それを近づけさせて
「んっ……んん」
 近付く唇に、自分のそれを重ねた。

 ふたりはそうして、すぐに我慢できないように舌を絡める。目の前に移る志貴さんの顔は、とっても気持ちが良さそうで、その姿を見ているだけでこちらがどうにかなってしまいそうだ。
「あっ……ん」
 優しく、そしてねっとりと私の中で交換される舌の動きに、私はたまらずに声を上げてしまう。
 自分でも、いつも異常に物凄く感じてしまっているのが分かった。
 一瞬でもその感触が遠ざかるのが惜しくて、ふたりの舌はロンドを踊るようにして互いを貪り、舐め合っていた。

「あっ……」
 僅かでも唇が離れてしまうと、私は無意識に声を上げてしまう。
「志貴さん……寂しいです……」
 ちろちろと、舌先を唇から出して先程まで触れていた部分をなぞり、それを求めるようにすると、志貴さんは優しく笑って応じてくれた。

「あっ……ふうん」
 こうして触れていると、どうして今まで我慢できていたのかが信じられない。
 私を悦ばせて、同時に私を狂わせる。
 この愛の交歓に溺れる自分が、よく分からなくなっていった。

 間を埋めるように、口づけはいつまでも続くように。
 でも、私の体は次第に次の快感も求めてしまっている。
 そんな、女の部分を露わにする自分がいやらしくて、余計感じてしまう。

 そんな私の気持ちを知っているかのように、志貴さんの手がゆっくりと私の胸に触れた。
「あっ……」
 その瞬間、体の内外から痺れるような感覚が私を襲った。
 触れただけで、イッてしまいそうな気持ちよさが。
 敏感になっている私には、何から何までもが快感を強烈に呼び起こしていた。

「アキラちゃん……感じてるね」
 それを志貴さんが感じ取って、さわさわと服の上から私の胸をいじる。
「はい……ああっ」
 中心からむずむずと襲う気持ちよさに、私はあられもない声を上げてしまう。
 まだ布越しで、さらにブラも付けたままだというのに……直接触られたら気絶してしまうのではないかと思えてしまう。

「脱がすよ……」
 志貴さんがブラウスを脱がすのに肩をずらして協力する。その時、少し捻る感覚が
「つっ……」
 と、声を出させてしまう。
 志貴さんが少しそれを不安そうに見つめたけど、そこに直接、優しく口づけしてきた。
「きゃっ……」
 冷房にあてられて敏感な素肌がとても感じやすくなっていて、そのキスがくすぐったい。
「ふふっ、かわいー」
 志貴さんは私の反応を楽しみながら、そこからゆっくりと鎖骨、そしてブラに包まれた私の胸へと唇を這わせる。
「だめっ……!志貴さん……」
 声が出なくなる程ぞくりとした快感に襲われ、火照った胸元に光る汗を舐め取られ、私は気が遠くなる。


 それだけなのに、どうしてこんなに感じてしまうの?

 

 私、志貴さんを求めてる。

 

 満たされなかった無意識の欲望が、今こうして体に現れて私に罰を与えているようだぅた。
「志貴さん……」
 私のブラをたくし上げる志貴さんを見て、私は涙声になっていた。
「私、気持ちよすぎて……変なんです」
 志貴さんに告げて、私は更に体の奥から湧き出る気持ちが抑えられなくなった。
「だから、何とかしてください……」
 志貴さんはいつもじらすように私に優しく愛撫してくれる。
 今はそれじゃ間に合わない、そんな気持ちがしている。

「うん、アキラちゃんを気持ちよくしてあげるよ」
 志貴さんはそんな私の胸に吸い付くと、こりっと乳首を軽く噛んだ。
「ああっ!」

 そんな、急に……あっ!?
 私はその瞬間に、目の前が白くなっていく感じがして
 下半身が疼き、その奥から熱い何かがこぼれ落ちて下着を濡らしていた。

「あ……」
 自分でも信じられないその感覚に驚いてしまう。
 志貴さんは私をのぞき込み、少し驚いた様子をしている。
「もしかして……」
 志貴さんの言葉はそれ以上続かないが、私は頷く。
「……はい」
 
 私もそれ以上は言えないけど……イッちゃっていた。
 蓄積されていた快感もあるが、たった一度の愛撫で。
「アキラちゃん……」
 嬉しそうに志貴さんが呟き、すぐに胸に顔を埋めていた。

 ちゅっちゅっと、優しく乳首を吸われると
「あっ……あっ!」
 ベッドで跳ねるように、私は反応して胸を反らせてしまう。
 同時に反対の胸を手でこねられ、先端を弄ばれて、私は何度も意識が遠のいていた。

「アキラちゃんのここ……もう」
 気付いた時、志貴さんは私の股間に手を添え、その布地が濡れているのに驚いていた。
「やぁ……志貴さん」
 言われて更に恥ずかしくなり、私はまたじゅんとさせてしまう。
「取るね……」
 スカートの中から抜き取るようにパンティを脱がされ、その中に志貴さんの頭が滑り込む。
 中でどうしているのかが見えない一瞬の不安の後、

「……あああああっ!!」
 私はその強烈な感覚に大きな喘ぎ声を上げていた。

 志貴さんは私の真珠に唇で触れ、同時に指を私の中に沈め、内部をかき回していたのだ。
 一気に予想を飛び越えた行動に体が従順せず、私は予期せず落ちた。

 ひくひくと自分のそこが蠢き、目の前で志貴さんにそれを見られている……
 それに誘われたかのように志貴さんの愛撫は止まらない。
 じゅるる、と私のはしたなく流れる愛液を啜る音がして、それまでもが私をおかしくした。
「ひゃっ!ああっ!!」
 足を開き腰を高く掲げてしまいながら、私は連続した刺激におかしくなる。
「凄いよ、いつもより一杯溢れてくる。こんなに啜ってもまだ……」
 志貴さんが顔を上げると、そこは私の愛液でべちょべちょに濡れていた。
「やぁ、言わないでください……」
 志貴さんはいつもそうやって私に意地悪くする。そうすると私が恥ずかしがって余計感じてしまうのを知っているから。
 今も更に愛液を滴らせ、志貴さんを欲しがっている……

「アキラちゃん……俺も我慢できないんだ。いいかい?」
 志貴さんはそうして私のそこにズボン越しの突起を擦りつけ、合図を送る。
「はい……私ももうダメです」
 それに呼応して腰を浮かしてしまう自分がはしたないけど、本当にどうにかなりそうで。
 志貴さんがズボンを脱ぐのも待ちきれなく、私は羨望の眼差しで志貴さんのそれを見つめていた。

 いつもより凄く大きく見えて、たまらない……
 それは志貴さんも興奮しているからだろうけど、待ち遠しい自分の心の歪みかも知れない。
 
 志貴さんが私の腰を掴むと、そこに自分のモノをあてがった。
 待ち遠しかった私は、来るべき快感に目を閉じて待ち受ける。
 ……が、ここに来て志貴さんはわざと入り口を擦りつけるだけで、私をいじめる。
 むずむずした未達感が私を襲い、一気に不安にさせた。

 目を開き、震えるような感覚で志貴さんに告げる。
「志貴さん……早く……!」
 しかし、私がそれを最後まで言えないまま、それを待っていたかのように一気に志貴さんが私の中に入ってきた。

「あああああっ!!」
 一度で一番奥まで一気に突き上げられ、更に心の準備が解かれていた瞬間だった。
「ああああああん!!」
 
 ヤ……!!これだけで……!?

 志貴さんと繋がるそこを中心に爆発的に広がる快感に、私は体の自由を奪われていた。
 体中がぴーんと張りつめ、志貴さんをぎゅうぎゅうと包み込むように強烈に膣が収縮していた。
 絞るような感覚。なのに志貴さんはそれに抗っているかのように動かない。それが私の中を満たしながら、次の動きを堪えている。

「あっ……やっ……」
 あられもなく、一度で達してしまった自分に驚愕しながら、志貴さんの前でこんなはしたない姿を見せて恥ずかしさが溢れ出す。
「アキラちゃん……今日は凄く感じてる」
 私が少しずつ弛緩していくと、待っていたかのように志貴さんが運動を始めた。

「はい、私も志貴さんが欲しかったから……きゃっ!あはぁっ!」
 志貴さんが私の中を出入りする度、私をいつもの何倍もの気持ちよさが襲う。
 
 志貴さんのが、物凄く熱い。
 発火してしまうと思える程、そこは私の膣で熱い熱を放っている。
 じんじんと、まるで痺れが如く私の膣で広がり、融け合った志貴さんの熱さと私の体温が強烈に渦を巻き、私を飲み込んでいく。
 志貴さんのその大きなモノが私の膣に入り込むと、私の内部がざわざわと蠢き、志貴さん自身の全てを絡め取っていくかのように刺激している。

 私の膣から出ていくならば、それを惜しみ追いかけるように……
 入ってくるならば、迎え入れ包み込むように……
 自分でも制御できないその複雑な波の動きが快感となっていて、意識とは別の早さで私を気持ちよくさせていた。

「ああん!あああん!!」
 志貴さんも堪えられずにピッチを早めて私の中を満たす。
 ぐちゅぐちゅと泡立つような音が結合部から漏れ聞こえ、お互いの感覚を麻痺させていく。

「アキラちゃん……アキラちゃん……」
 いつもゆっくりと余裕を見せる志貴さんが、今日は物凄く嬉しそうで、苦しそうで。
「凄く、気持ちよすぎるよ……」
 うなされるように志貴さんはつぶやき、止まらないと言うように腰を上下する。
「はい……私も……あっ!」
 その激しい攻めが、私を追いつめる。

「アキラちゃん……待ってたんだよ」
 志貴さんは私を揺らしながら笑いかけてくる。
「3日もシテなくて俺も敏感になってるよ。もう、毎日しないとダメかもね」
 笑っているけど本気の声で、志貴さんが私を抱き締める。

「はい……!これからは……好きなだけ抱いてください……!!」

 

 志貴さんも私と同じ気持ちだったんだ。
 そう思うと凄く嬉しくて。


 それが私を早くも遠くに連れて行っていた。

「ああっ……!イッちゃう……イッちゃう……!」
 私は飛びそうになる時声が殆ど出なくなる。
 その反応が志貴さんは嬉しいらしく、その時はいっぱい私を悦ばしてくれる。
 そうして、私の限界を感じ取った志貴さんがずんと突き上げてきた。

「あっ……!」

 私は拠り所を求めるように右手でシーツをギュッと掴もうとした。